「水曜日の凱歌」 乃南アサ 新潮文庫

乃南アサは好きな女性作家のひとりであるが、しばらく読んでいなかった。
新刊案内にはマメに目を通しているのだが、この本の出版は知らなかった・・・文庫の初版は平成30年だが、一般書としては平成27年7月に出ている。

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これは小説。
この史実を扱ったノンフィクションは、「敗者の贈物」という題でドウス雅代が書いているのを読んだ。
後に「「マッカーサーの二つの帽子」と改題されたが、どうしてだろう?
「敗者の贈物 国策慰安婦をめぐる占領下秘史」というのが正式なタイトルだが、まさしくそのタイトル通りの策であったのに。

終戦直後、占領軍の進駐に伴う「日本の婦女子の純潔を守るため」、防波堤として性産業の人物などが中心となり兵士専用の売春宿を国策としてひらき歓待して、一般婦女子を性犯罪から守ろうというもの・・・まさしく「敗者の贈物」である。
うろ覚えの記憶では、過去ドイツなどの敗戦国では、そういうものはなかったとか。

唐人お吉の時代の発想と同じというわけだろうか。
ただし、この策は、性病の蔓延によりGHQから廃止を命令されている。

その史実を小説として書かれたものだが、主人公の環境は少し違う。
男装することで身を守らされた裕福な家の娘が主人公。
裕福でやさしい両親と兄弟に囲まれて生活していた主人公だが、父は事故死、兄たちは戦死、姉や妹は焼死して、母と二人が残る。

娘には優しかった父だが、夫としては妻を支配するタイプだった。
勉強好き、それも英語が堪能だった(戦前に女学校で教育をうけた)母は、まず父の友人の援助をえて進駐軍の特殊慰安施設で通訳として働き始める。
水を得た魚のように、英語を駆使しその組織の中で管理担当としての能力を発揮しだす母。

日本人である父の友人から、GHQの高級将校へとパトロンを変えつつ生活のステップアップを図る。
娘には「生活力を付けるため」寄宿舎付きの女学校への進学を画策する。
それは愛人との生活のために、娘を追い出すため~と、娘は反発する。

ノンフィクションと小説とでは、視点が違うのは当たり前。
だが、著者の年齢や時代が、同じ時代を描いてもこうも違うのかな~と、思いながら読んだ。

ドウス雅代は、現在は80歳くらいか?1970年代の作品だった。
一方乃南アサは、50代後半? 
もともとエキセントリックな主張はしないタイプだし・・・

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