「落花」 澤田瞳子 中央公論社

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登場人物は、平将門。
関東の地元はいざ知らず、一般的には歴史上の謀反人。

語り部のような役は、仁和寺の僧の寛朝で、この人は宇多天皇の孫である。
この本では、父は、醍醐天皇の同母弟の敦実親王で政治の中心にいる。
実母の出身のせいか疎まれた存在である寛朝は、幼い時期に一族にゆかりの仁和寺に入れられる。

歌(和歌ではなくsingの方)で才能を見せるが、本人は父に認められない不満を持っている。
都を捨て東の国に去った僧を追い、関東に赴く。
そこへ父がつけてくれた供の青年は、父からのお目付け役と疑いの目で見る。
その青年は青年である目的をもって関東へと向かいたい。

そんな寛朝一行の目の前に、さっそうと現れたのは平将門。
片方の幾人かの武士とも会い、前もって聞いていた人物像とは違う将門に心惹かれる。
公家の世でない、武士の論理でおさめる時代がいずれ来ることも感じながら、その争いのさなかに巻き込まれていく。

女性作家とは思えぬ、戦場、騎馬に踏みつけられる武士たちの累々たる死骸の山の描写。
殺戮や略奪の描写の迫力にビックリ。
同じ歴史資料を使っているだろうと思われる高田崇史のQEDシリーズの淡々とした描写とはずいぶん違う。
あまりの迫力に、ちょっと腰が引ける。

澤田瞳子のツイッターを見ているのだが、あるとき仲間の作家さんのものをリツイートされていた。
何かの戦闘シーンを書くために、朝早くから激しい戦闘シーン満載のDVDをみたら、気分高揚どころか気分が落ち込んだ~という一文があった。
そうか、作家さんもご苦労なことだな、と思った次第である。

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